きみのおと
傷ついた心
別れても、同じクラスに千秋くんはいて。
どうしたって姿は見てしまって。
その度に胸がチクリとなる。
「しぃちゃん、お昼一緒に食べよう」
お昼休みになって、亜衣が笑顔で声をかけてくれる。
その笑顔に私も笑って返す。
ちゃんと、笑えてるかわからないけれど。
「ううん。私、今日食堂で食べるんだ。お弁当忘れちゃって。だから、亜衣はいつも通り柊二くんと千秋くんと一緒に食べて」
「え、でも・・・」
「言ったじゃん、私は大丈夫だって。亜衣たちには千秋くんと変わらず友だちでいてほしいんだ」
私のせいで、千秋くんから二人を奪っちゃいけない。
私とダメになったからって、亜衣たちまで離れることなんてないんだ。
「しぃちゃん・・・」
「ほら、いっていって!私も食堂混むから早くいかなきゃ」
立ち上がって鞄の中から財布を取り出すと、亜衣を笑って押し出した。
亜衣は戸惑ったように私を振り返るけど、私は笑って手を振る。
これでいい。
こうするって、決めたんだ。