きみのおと


私は教室を出て、そのまま食堂ではなく中庭に出た。
食堂に行くって言ったのは、亜衣が気にしないように言ったでまかせ。


自販機でオレンジジュースを買って中庭のベンチに腰かけた。
じめじめと暑くなってきたせいか人はあまりいない。


あと少しで期末テスト。
ほんとうだったら千秋くんと勉強するはずだった。


夏休み。
どこに行こうか楽しみにしてた。




全部、全部、ダメになっちゃったんだ。




気を抜くと溢れそうになる涙を慌てて拭う。
こんなに、私泣き虫だったかな。




千秋くんが早く立ち直ってくれたらいい。
そうなったら、私は嬉しい。




そこに、私がいなくても・・・。





――――本当に?





< 355 / 418 >

この作品をシェア

pagetop