きみのおと
「どうしたの、しぃちゃん!それ!」
次の日、学校に行くと亜衣が驚きの声をあげた。
昨日のふくらはぎの怪我は、絆創膏では間に合うわけもなく、ガーゼと包帯で手当てをした。
目立つけれど仕方ない。
「ちょっと転んじゃって」
ははは、と苦笑して答えると亜衣は心配そうな視線を向ける。
「転ぶって、そんな怪我をするほどって・・・」
「ドジだよねぇ。ほんと、馬鹿」
「笑い事じゃないよ。本当に大丈夫なの?」
「包帯で巻いてるだけで、ちょっと大げさになっただけで本当に大したことないの」
余計な心配をかけたくない。
私に向けられる心配も、全部千秋くんに向けてほしい。
「ね、私は大丈夫だから」
「しぃちゃん・・・」
私は大丈夫。
そう、自分にも言い聞かせるんだ。