きみのおと
「その頑固者にはなに言ったって無駄だぞ」
「柊二くん・・・」
「そこまでやってやる必要どこにあるんだよ。あいつだって仮にも男だろ。それに、お前はフラれたんだろ。ふざけんなって怒っていいところだろ」
「怒るなんて・・・」
そんなことできないよ。
だって、きっと私が何かしちゃったんだ。
好きじゃなくなったって言われて、どうして怒れるっていうの。
気持ちの問題は、どうしようもないじゃん・・・。
「柊二くんも、変わらずいてよ。千秋くんの友だちで、ちゃんといてよ」
「俺がどう思ってたって、あいつが拒むんじゃ意味ないだろ」
「でもそれは、今千秋くんが傷ついてるから」
「あいつは何に傷ついてるわけ?俺にはそれがサッパリなんだよ」
「だからそれは、あの子が千秋くんの過去を思い出させて・・・。裏切られたから」
そう。
だから、千秋くんは。
「過去なんて、別にそれまでも忘れてたわけじゃないだろ。それなのにあいつに思い出さされたからって今更だろ」
「じゃあ、どうしてだっていうの?どうして千秋くんは傷ついて声を失ったっていうの?」