きみのおと
授業になんて一つも身は入らないし。
時折やってくる睡魔に抗えずうとうとしてしまう。
「・・・や・・・二ノ宮!」
張り上げるような声にビクッと身体を揺らし目を覚ました。
顔をあげると、今授業中の数学の先生が目を吊り上げ私を見ていた。
「24ページの問2、答えろ」
「え、あ・・・、す、すみません・・・。わかりません」
慌てて教科書を見るけど、すぐにポンと答えが出せるほど私の頭は良くなくて。
正直にそう答えた。
「おいおい、来週から期末はじまるぞ。大丈夫なのか、しっかりしろよ」
「・・・はい」
肩を落としそのまま席に着いた。
どんだけ苦しい状況だって、現実は待ってはくれない。
テストの事なんて考えたくないのに。