きみのおと


「しぃちゃん、おはよう」

「おはよう、亜衣」



教室に入るとすでに登校していた亜衣が笑顔でやってくる。
私も笑ってそれに答えた。




「あ、仲よくなったんだ。久賀くん、おはよう」

「榎並亜衣。私の親友だよ」



亜衣は私と一緒に教室に入ってきた久賀くんを見て挨拶をする。
久賀くんは戸惑ったように肩をすくめた。
でも、少し間が開いた後、微かに頭を下げた。




「私とも、よかったら仲良くしてね」




人見知りのある亜衣。
少し照れくさそうにそう言った。

久賀くんはそれにも小さく頷いて答えた。





「邪魔だ、バカ」




ホンワカな空気が流れる中、突然後ろから聞こえた声。
確かに、入り口の側で話し込んでいたから邪魔になっていただろう。

でも、言い方ってものが・・・。



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