きみのおと
「逃げるな。負けるな。お前が決めた事なら俺は、応援だって、協力だってなんだってしてやる。お前がまたこんな風に間違った道に進んだとしても、また同じように怒鳴りつけて引き戻してやる。何度でもだ」
「柊二・・・くん・・・」
「誰もいない過去じゃない。言っただろ。今のお前には、お前自身が掴んだものがたくさんあるって。それを、使えって」
逃げることしか考えられなかった。
現実からも、しぃちゃんからも、逃げ癖がついてたから。
大事な事、忘れてた。
「お前が覚悟を決めたなら、俺だって亜衣だって、お前の力になる」
「そうだよ!もっと早く頼ってほしかった!千秋くんが一人で思い悩んで答えを出す前に、頼ってほしかった!きっとしぃちゃんだって、同じ気持ちだよ」
「・・・ごめ・・・なさい・・・」
「このまま俺たちと行くのか、行かないのか。今ここで決めろ」
その問いの答えは。
本当はずっと決まってた。
それでも、その道を選んでいいのかずっと自信なんてなくて。
だから、手放してしまった。
それでも。