きみのおと
「だったらなんだよ」
「ううん。ずっと来てなかったから。初めましてだよね。私二ノ宮雫。よろしくね」
そう言って笑うと、芹川くんは驚いたように目を見開く。
一瞬黙り込んだ後ムッとしたように眉を寄せた。
「よろしくなんかしねぇよ。ばっかじゃねぇの」
そう吐き捨てると教室の中に入っていく。
確かに、亜衣の苦手そうなタイプ。
「すごいね、しぃちゃん・・・。芹川くんにも話しかけるなんて」
「いや、でも、無視はできないし・・・」
それに、怖いかどうかなんて話してみないとわからない。
でも、芹川くん、席わかんないんじゃ・・・。
案の定芹川くんは座る席に戸惑っている様子だった。
ごちゃごちゃ考えるのは苦手なのか、適当な席を見つけてドカッと座った。
そこは、窓際の一番後ろの席。
久賀くんの席だ。