きみのおと


人気のほとんどない岩場の近くまで引っ張って来られた私は、片手に持ったままのかき氷をどうしたものかと考えてた。




「あの、千秋くん・・・。かき氷溶けちゃ・・・」




うんだけど・・・ときっと場違いであろう発言をしようとして顔をあげたその時、振り向いた千秋くんの唇が、私のその言葉をのみ込んだ。
重ねられた唇。

千秋くんとの、二度目のキスは甘い甘いかき氷のシロップの味。




「・・・あま」



千秋くんはそう言ってはにかむと、再び唇を重ねてきた。
さっきよりも深く繋がる唇からチュッチュッと、音がして私の心臓を速める。


息苦しくなって開いた唇の隙間から入り込んできた千秋くんの舌が私のそれを絡みとって甘く交わっていく。




幸せな息苦しさに包まれて。
私はその幸せに、縋るように千秋くんの背中に手を回した。




「しぃちゃん・・・」

「・・・ん・・・」

「大好き」




噛みしめるような声が。
囁くような音が。

甘く耳に響く。




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