きみのおと
エピローグ
きみのおと
「おかーさーん!!」
寝室から聞こえる愛娘の呼ぶ声に、私はパタパタとその声の元へと向かった。
寝室の戸を開けるとそこには床に座り込んで何かを覗き込む愛娘、志帆の姿。
「どうしたの?大声で」
「ねぇ、これなに?」
「え?」
志帆が差し出したのは、一冊の古びたノート。
水玉模様のそのノートをどこから引っ張り出したのだろうか。
「それ、どこにあったの」
「クローゼットの奥に、箱に入ってた」
「人のクローゼットを勝手に漁るなんて」
「ごめぇん。借りたい服があって探してたら見つけたんだもん」
悪びれた様子もなく笑ってそう言う志保に私は呆れてため息を吐きながらそのノートを手に取る。
「これは、お父さんとお母さんの交換ノートよ」
そう答えた。