きみのおと


「僕が愛する奥さんをなんと呼ぼうがいいだろう。それに、ちゃんと外では気を付けてるし」

「わかってるわよ。羨ましいだけ―!」

「え?」



千秋くんは私を相変わらずしぃちゃんって呼ぶ。
そして私も、二人の時には千秋くんて呼んでいる。




「志保も、そういう相手が欲しいんだって」

「え!?志保にはまだ早いんじゃないかな。もう少しゆっくり見つけても」




すっかり親ばかな千秋くんは、志帆の突然の発言に大慌て。
そんな千秋くんの慌てっぷりは見ていておかしい。



「そうだ、芹川ったらね、この前またケンカしたんだって」

「え?」

「それが、絡まれてる女の子を助けたらしいんだけど、それで停学喰らったらしいんだよねー。ほんと、馬鹿だよね、あいつ」




志帆が思い出したようにそう言った。
芹川・・・志保が言う芹川っていうのは、芹川衣織くん。
志帆の一つ下で同じ高校に通っている。


衣織くんは、柊二くんと亜衣の愛息子だ。



< 415 / 418 >

この作品をシェア

pagetop