きみのおと


「わりぃかよ」

「そうじゃなくて、久賀くんもパン好きだから、同志だなって。私も好きな方だし。亜衣も好きだよね」

「う、うん」



亜衣はまだ少し怖い気持ちがぬぐえないみたいで、人見知りも相まってたどたどしい。
それでも、逃げ出さずにちゃんと向き合っている。



「・・・お前、メロンパン好きなのか」




芹川くんは、久賀くんが袋から取り出した購買のメロンパンを見てそう尋ねた。
興味を持ってくれたみたい、

久賀くんはギュッとメロンパンを握りしめて頷いた。



「ここの購買のメロンパン、うまいよな。駅前にうまいメロンパン売ってる店あるけど、そっちと劣らないくらいうまい」

「そこ!私も知ってて、昨日久賀くんも食べたんだよ、そこのメロンパン。ね!」




思わぬところで繋がった!
芹川くんも最初の刺々しさは軽減し、メロンパンの話で盛り上がってる。




「へえ。あそこ結構奥まったところにあるから、詳しくないと知らない人の方が多いんだぜ」

「そうなんだよね。穴場スポットですごくおいしいの。でも、最近知られてきちゃって人多くなってきたんだよね」

「確かにな。いつ行っても忙しない感じだ」



すごく話しやすい人じゃん。
パンを好きな人に悪い人はいないって!




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