きみのおと
「そうする!」
そうと決まればすぐさま久賀くんのもとに急ぐ。
3日後なんてすぐだもん。
どうにかパスしなくちゃ。
「久賀くん!」
小説を読もうとしていた久賀くんのもとに駆け寄ると、久賀くんは驚いたように肩を震わせた。
いけない、驚かせてどうするのよ、私。
久賀くんは、相変わらず私たちに対してもまだ控えめだ。
それに、私たち以外の人と関わってるのをいまだに見たことがない。
先生たちも、触れようとしないし。
それって、どうなんだろう。
「久賀くん、私に勉強を教えてください」
久賀くんの机に両手をついて頭を下げた。
ジッと頭を下げていると、久賀くんの細くて綺麗な指が机についた私の手に触れた。
顔をあげると、目の前に差し出されたノート。
この間私が渡したノートだ。
『僕でもいいの?』
ノートには久賀くんの綺麗な字でそう書かれてあった。