きみのおと


「ていうかさ、亜衣の事は榎並って呼ぶくせに、なんで私だけお前、なのよ」

「お前はお前で充分だろ」

「ひどい!私だって、二ノ宮っていう名前が」

「うるせぇな」



わいやいと言い合いが続く。
ふと久賀くんを見ると、久賀くんは顔を俯かせ居心地悪そうにしていた。

いけない。
こっちで盛り上がりすぎた。
って、盛り上がったわけじゃなくてケンカだけど。




「久賀くんって、家駅とは反対方向だったよね?」




久賀くんの隣に移動してそう尋ねる。
久賀くんは少し間をおいて小さく頷いた。



久賀くんは立つと本当に背が高くて見上げる形になる。
でも、顔を見ないと反応わからないしね。

私がもう少し背が高かったら。


私の身長は155㎝。
久賀くんって、何㎝あるんだろう。



「久賀くん、身長何㎝?」



疑問に思ってそう尋ねると、久賀くんは少し考えた後指で数を示してくれた。



「ひゃく、はちじゅう、・・・え、180㎝もあるの?うわぁ!背、高いね!」




25㎝も違うんだ。
そりゃあ、見上げるよね。



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