きみのおと
「芹川くんって、部活入ってんの?」
「あ?なんでそんな事お前に話さなきゃいけないんだ」
「まぁ、入ってないだろうけどね」
「ケンカ売ってんのかてめぇ」
放課後、授業を終え帰り支度をしていると聞こえてきた二ノ宮さんの声。
どこにいても聞こえてくる明るく澄んだその声。
芹川くんと楽しげに話すその声に、少しだけ嫉妬した。
僕もあんな風に彼女と喋りたい。
あんな風に、他愛もない話で言い合ったり笑い合ったり。
でもそれができないのは、誰のせいでもない。
紛れもなく自分のせいなのに。
こんな想いを僕が抱くべきじゃない。
ギュッと鞄を掴んで教室を飛び出した。