きみのおと
――無理して話さなくたっていいの。きっと、高校に入ったら、きっといい出会いだってある。もしかしたら、話したいと思える人に出会えるかもしれないものね。
――その時に、ちーくんが笑って話したらいいの。
僕が喋らなくなって一か月たったころ、お母さんがそう言った。
そんな日がいつか来るなんて、思えなかった。
僕を受け入れてくれる人なんて、いない。
僕も誰の事も信じられない。
ずっとそう思ってきた。
あの時から、ずっと。
「ちーくん!ごはーん!」
ボーッとしていたらすっかり時間が経っていたみたいで、慌てて服を着替えると階段を下りた。