きみのおと


もうあんな思いはしたくない。
でも、親を悲しませたくない。



だから、学校には行くし、問題は起こさないように頑張る。



出来れば目立ちたくないし。
誰とも関わりたくはない。




だから、学校でもどうにか一人でひっそりと過ごしていきたい。





「・・・ないだの女!邪魔しやがって!」

「なっ!なんのこと!?」




あれから数日に一度は放課後に通ってるあのパン屋。
今日もまた訪れていつもの帰り道を歩いていると、言い争うような声が聞こえた。



その一人の声が、しぃちゃんの声に聞こえる。




もしかして・・・。
そんな不安を抱き、思わずそっと声のする方に向かうとそこには案の定しぃちゃんの姿。
この間の男たちに取り囲まれている。




どうしよう。
あの時の事で因縁つけられてるんだ。

僕のせい。
でも・・・。



――でも久賀くん、ああいうのは逃げなきゃだめだよ。逃げるか勝ちって言うでしょ




怖気づく僕の心に、この間のしぃちゃんの言葉が蘇る。



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