きみのおと
「ざけんな!待て!」
どこまで執念深いんだ。
通りを適当に走っても、一向に諦めない男たち。
息が上がって、苦しい。
しぃちゃんも、きっと同じで何度か足がつんのめっているのがわかる。
このままじゃ・・・。
「なに楽しそうなことしてんだ。俺も混ぜろよ」
足が止まりかけたその時、聞き覚えのある声が聞こえた。
すっと姿を現したその人物は僕たちを通り過ぎ迫りくる男たちの前に立ちふさがった。
「え、芹川くん!?」
しぃちゃんが叫ぶ。
視線を向けると、それは確かに芹川くんの姿だった。
「なんだてめぇ」
突然現れた芹川くんに、眉を顰め今にもとびかかりそうな空気を醸し出す男。
芹川くんは全く怯みもせずがんを飛ばしている様だった。