きみのおと
声で話すペースと、筆談のペースはやっぱり違う。
テンポは必ず悪くなる。
二人のやり取りの邪魔はできないって思った。
それに、中にはいる勇気なんて僕にはない。
でも。
楽しそうに話す二人を見て、胸がちくりと痛んだ。
僕もあんな風に楽しく話せたらいいのに。
あんな風に、しぃちゃんと笑いあえたら・・・。
あれ?
なんでそんな風に思うんだろう。
そんな気持ち、もうなくなったと思ってたのに。
誰かと話したい、なんてそんな気持ち・・・。
だって、だからこそ僕は、喋ることをやめたんだ。
「ね、千秋くんもそう思うでしょ?」
突然話を振られ僕はハッとする。
思わずコクリと頷くと、芹川くんがぎろっと僕を睨みつけた。