きみのおと
新学期の初日は、半日で終わる。
その上明日は学力テストがあるもんだから、皆心なしか気分が落ちてる。
新しい担任の先生の話も終わり、それぞれ帰路につく。
「しぃちゃん、かえろ!」
亜衣が鞄を手に駆け寄ってくる。
私も鞄に筆箱を片付け帰り支度を済ませると、「おまたせ」そう言って椅子をしまった。
ちらっと、窓際後ろの席を見る。
彼、久賀くんは唯一覗き見れる口元をキュッと結んだまま同じように帰り支度をしていた。
「・・・いこっか」
彼の、なにがこんなに気になるんだろう。
面倒なことは好きじゃない。
おせっかいはしたくない。
別に今の状況を変えたいと思ってるわけでもない。
それなのに・・・。