お嬢様と執事の不器用なちょっとした話
「貴女……」
赤の他人にどうしてそこまで必死に言えるのか、纏には分からなかった。
だけどお嬢様でも会社役員でも無く、錺禰纏だけを見てくれている気がした。
出会った頃の様な、何物にも染まっていない庵みたいに。
「…でも、2人で悩むってどうやって…?今更あの作り笑いを崩す方法なんて、私には思い付かないわ……」
我が儘を言っても、家出をしても、仮面みたく張り付いた偽物の笑顔を引き剥がす術を、纏は知らない。
「そ、それは……えーっとですね……」
捗拵もその実知らなかった。
庵の言葉の節々には、かなりの決意じみたものが感じられたからだ。
あれを崩すとなると骨が折れそうだが。
「貴女はお祖父様とどうしたの?お祖父様は一緒に悩んでくれたのよね?」
「はい…。祖父は私の話を聞いてくれて……あっ!!」
ユーレカ、我発見せり!
良い案を思い付いたとばかりな顔をした。
「お話しましょう!」
「はい?」
困惑する纏を置き去りに、捗拵は思い出したのだ。
優しく気概ある祖父の笑顔を見ながら話してる内に、いつの間にか悩みなどどうでもよくなってた事に。
赤の他人にどうしてそこまで必死に言えるのか、纏には分からなかった。
だけどお嬢様でも会社役員でも無く、錺禰纏だけを見てくれている気がした。
出会った頃の様な、何物にも染まっていない庵みたいに。
「…でも、2人で悩むってどうやって…?今更あの作り笑いを崩す方法なんて、私には思い付かないわ……」
我が儘を言っても、家出をしても、仮面みたく張り付いた偽物の笑顔を引き剥がす術を、纏は知らない。
「そ、それは……えーっとですね……」
捗拵もその実知らなかった。
庵の言葉の節々には、かなりの決意じみたものが感じられたからだ。
あれを崩すとなると骨が折れそうだが。
「貴女はお祖父様とどうしたの?お祖父様は一緒に悩んでくれたのよね?」
「はい…。祖父は私の話を聞いてくれて……あっ!!」
ユーレカ、我発見せり!
良い案を思い付いたとばかりな顔をした。
「お話しましょう!」
「はい?」
困惑する纏を置き去りに、捗拵は思い出したのだ。
優しく気概ある祖父の笑顔を見ながら話してる内に、いつの間にか悩みなどどうでもよくなってた事に。