朝焼け
電車が薫ちゃんを乗せてどんどん離れて行く。

次はいつ会えるかな。


「送ってくる時に次いつ会うとか約束なり、メールアドレスの交換なりしたか?」

…あっ!!
しまった、何にもしてない!
そりゃあ上着は由美に預けたらいいか、とか言われるよな…。


「…お前。まさか…あれだけ良い雰囲気出してて、話すのに夢中になってたとかじゃ…!!」


…さすがオムツをしてた頃からの親友。
俺の事をよく解ってらっしゃる…


「由美にメール!!!まだ電車の中だから、間に合う!!携帯貸してやるから!!
ホラ!急げ!
あぁ~!もういい!俺が送る!!」



晃がキれながら由美にメールを打つ。


「薫ちゃん、教えてくれなかったらどうしよう…」

「あ~?あれだけ良い雰囲気だったんだ、んな事ねーよ。弱音を吐くな!」


一喝されてしまった(汗)


すると、晃の携帯が鳴った。


「…お前にだ。見ろ」



嫌だ。もし、断られたら?

きっと再起不能だ。


フリーズする俺を見て、渋々晃がメールを読み上げる。




「…え?マジで?良いって?やったぁ~!!」


あまりの大声にすれ違った人が驚いていたが、気にもならなかった。



「ホラ、速くお前から薫ちゃんにメール送れ。これが薫ちゃんの連絡先だ」





…何て送れば良いんだ?

「晃、何て送ればいいか分からない…どうしよう」

と言うと、携帯を奪われた。


何かを送っている。


「よし、OK~♪」


何がOKなんだ?


送信メールを見ると、忘れないでね、とか送ってやがる!!


いや、確かにそれは思ったけど…!

「今日家に泊まれよ、久し振りに語ろうぜ」

と晃。

俺は今それどころじゃない。

何て事をしてくれたんだ。嫌われたらどうしよう。


俺の携帯が鳴る。



おそるおそる見てみるとー…


凄く嬉しい内容だった。


実はこのメールは今でも保存している。


そして、またもや俺暴走。

「忘れられるわけ無いじゃん!薫ちゃんみたいに可愛い子を!」


とか、気付いたら送っていた。
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