朝焼け
夏休みが終わりに近付く。


薫とは会えないから。


晃と遊ぶ。


晃が薫だったらいいのに。



「お前…自分から俺を誘っておいてー…
俺が薫ちゃんだったらいいのに、とか考えてねぇ?」



ドキッ。


「…何で分かるんだ?
晃ってエスパーなのか?」


「そうだよ。お前の事は大概分かる。」


「…やっぱ凄いな、晃は。女心も分かるし、尊敬に値するよ」



「明日は由美が泊まりに来るから、お前も来るか?明日はお前には帰ってもらうけど」



「う~ん、まぁ、考えとくよ」




「由美に探り入れてもらえよ」








ー…!!!!!



晃の背中に後光が見えた。




…気がした。



「じゃあ、明日バイト終わったら晃の家に来るからなっ!!」





「雄って分かりやすいよな。」



晃がゲラゲラと笑う。



「そんなにお前が夢中なんだ、俺と由美も全面協力するよ」




持つべき物は友達だぁっ!!


「アリガトウな、俺、頑張るよ!バイトも、恋も!」



「…雄。気合い入れるのは良いけど、暑苦しい」



「…ゴメン」




早く明日のバイトが終われ!


そう願いながら、鼻歌を歌いながら自転車に乗り、家に帰る。




早く夏休みが終わって、薫の時間が空けばいいのに。




いつの間にか俺の頭の中は薫でいっぱいだ。




何をしてても薫の事を考える。



恋って、不安だけど。



全てが楽しくなるんだな。




晃。




きっと、晃が居なかったら


あの時由美のプリクラを見なかったら




俺、薫に会えなかったんだよな。




感謝してるよ。



…おっと、俺は無神論者ではあるけど、



運命ってやつがもしあるなら




神様、貴方にも感謝します。




薫に出会わせてくれてアリガトウ。




この恋が実らなくても、大切な思い出だよ。
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