朝焼け
夏休みが終わった。

薫とのメールは相変わらず続いている。


でも。


「会おうよ」


とか、そんな話にはならない。



それでも、俺は薫の側に居たかった。



「友達」でいいから。






ある日、そんな風に思ってた俺に、

晃が電話で吉報を報せてくれた。



聞く所によると、薫が由美に「雄に会いたい」と言って来た、と言うのだ。




…直接俺に言ってくれればいいのに、ねぇ。



やっぱ俺嫌われてんのかな。



「2人で会うのが恥ずかしいんだって♪」




晃が言ってくる。



「何で2人で居るのが恥ずかしいか分かるか?!」




…分かる訳が無いだろ。


「お前に嫌われたりするのが怖いんだよ!!」



…晃が熱弁する。



「2人っきりで居て、私の嫌な所見せたりしたらどうしよう!!!!
怖い!こんなんじゃ会えないわ!!
…って感じなんじゃね?」



…晃、熱弁終了。



「え~、そうなのか?
ただ単に、俺と2人で会うのが嫌なんじゃねぇ?」


と言うと、




「それだったら毎日メールしたりしねぇよ。」



と、冷静に突っ込まれた。




そうか。



そういうものなのか。



「…んで、今週の土曜。
由美が4人で遊ぶ約束取り付けてくれたから」



えっ?



マジで?



薫に会えるのか?




「アリガトウ、晃!!!!感謝するよ!!」



凄い勢いで礼を言う。


「土曜な。分かった!!金曜の夜晃の家に泊まりに行っていいか!?」



「いいよ。じゃあ、金曜な」


と言って電話を切った。




その日の夜はあまりの嬉しさに小躍りしてしまい、その現場を親に見られてしまった…。




早く土曜になれ~~~!!!



時間も巻き戻したり、早送りできたりすればいいのに。


そしたら、俺はまず土曜日に早送りするのに。



薫も、俺と同じ気持ちで居てくれたらいいな。
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