朝焼け
そんなこんなでどうにか欲望を抑えつつ、
薫との付き合いも1ヶ月が経った。



晃には



「まだ手も握ってねぇの?!」



と、ブーイングを受けている。




薫を見送る為に、駅のベンチに腰をかけて電車が来るのを待つ。




薫といろいろな事を話してた。



新しいゲームの話題。



バイトのハプニング。





ふと、薫が黙った。




そして。




頬に一瞬だけど柔らかい感触。









…ーえっ??!




もしかして?



今。



頬に当たったのは。




薫の…唇??




薫はいつも俺の先回りをしてくる。





正直に、



「抱き締めてもいいデスか?」



と、聞くと。




薫の顔が真っ赤に染まり、



「ハイ、どうぞ」



なんて言って。




…これは夢か何かか?




確かめる為に



抱き締めた。




女の子って、イイ匂いがするんだね。




すごく、幸せだった。




その時。
何かの音がした。



顔を上げると。




電車が発車する所だったー…。





でも。



薫は、俺と居れる時間が増えた。


そう言ってくれた。




「もう一度、抱き締めていい?」



「聞かなくていいよ?答えは決まってるから」



薫が目線を反らしながら言う。





…もう。




そうやって俺の気持ちをガッツリ掴む。




俺は薫を抱き締めた。




邪魔が入らなければ、俺は欲望に負けてしまってたかもしれない。
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