朝焼け
待ちに待った土曜日がやっと来た。


たった数日しかたってないのに、まるで何年もたったかのように感じる。


精一杯のおシャレをして、由美の家に行く。



由美は私を見て、
「ミュールに履替えな」

と言った。


今日こそはスニーカーで行こうと思っていたのに…


ミュールは歩き辛いから嫌なんだよね。



電車に乗り込み、雄にメールを送る。



「今電車に乗ったよ。駅に着いたらまた連絡するね」




「了解♪早く薫ちゃんに会いたいなぁ~」



と返信が来た。



こんな事をどうして雄は平気で言えるんだろう?


やっぱり私は雄の中でもう「男友達」になってしまったのだろうか…



由美が私の顔を見て

「顔。真っ赤だよ」

と、からかってくる。



電車が駅に着き、雄にメールを送ろうとすると、ホームにはもう晃と雄が居た。



またも抱き合うバカップル。
対してこちらは
「この前は服、アリガトウ。なかなか返しに来なくてゴメンね」

「うぅん、こうしてまた会えたからいいよ」


とお互いに顔を真っ赤に染め上げる2人。


また今日も雄と並んで歩きながら晃の家に向かう。

雄と話していて、私の顔は赤くなってはないだろうか。
私の気持ちがバレてはしまわないだろうか。

それが心配だったが、雄と話している内にそんな事は気にならなくなって行った。

私達は晃の家で飽きもせずにゲームをしながらお喋りをしていた。


帰りの電車に乗る時に、雄が
「寒いと悪いから、ハイ、これ」
と、また上着を渡してきた。

「これがあればまた会えるでしょ?だから、持って行って?
それとも…迷惑かな?」
としょげた顔をした。


嬉しかった。

また会いたいと思ってくれている。

そう思うと顔が真っ赤になる。
真っ赤な顔で上着を受け取る。

雄はそんな私を見て、照れたように笑い、
「またね」
と言った。

私はただ、頷くだけしか出来なかった。



帰りの電車の中、隣りで由美がいろいろ言っていたけど、
私は照れたように笑う雄の顔を思い出していた。
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