朝焼け

俺が自転車を押し、その隣りを薫が歩く。



「…手、繋ぎたい。
薫とくっついていたいのに。
手塞がっちゃって手が繋げない。」



思わず本音が出る。



薫の腕が自分の腕に絡まってくる。


薫を見ると、俺の好きな笑顔で

「手は繋げないけど、これならくっついてる☆」

と、言われた。



抱き締めたいよ~。

それはさすがに言えなかったけど。



本当は自転車置きっ放しにして、薫を送って行こうかって。




真剣に考えたよ。




馬鹿な男でゴメンね。



謝ってばっかりだな。



情けないや。
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