朝焼け
その時。

星が降る中で雄がガバっと起き上がり、

「薫ちゃんとずっと一緒に居れますように、薫にゃんちょ…」

2回目で舌を噛んだ。

「願い事言えなかった…願い叶わないんだ…」

うなだれる雄。


「きっと聞き届けるまでもなく、ずっと一緒って事だよ」


「…アリガトウ、薫ちゃん」

「私がそう思ったから言っただけだから、お礼なんて言わないで?
むしろ…素敵な思い出をアリガトウ…」




そして夜中まで2人で星が降るのをずっと見ていた…。




「そろそろ帰りますか」



「あっ、その前にちょっと待って?」



さっき海で拾った巻貝を取り出す。



「ここで波の音がしたら凄くない??」



眼を閉じて、貝を耳に当てる。




「…きだ」




「えっ?」




今。




何か聞こえた気がした。




雄の声?



「雄君、今何か言った??」




「えっ?俺、何も言って無いよ??」




じゃあ

あの声はなんだったんだろう??




「きっと、気のせいだよ。さぁ、帰ろう」





そして、私達は家に帰った。





あの時。




確かに雄の声が聞こえたんだよ。





あれは私が言って欲しい言葉だった。



本当に微かに



「好きだ」




って



雄の声が聞こえた気がしたの。






私、幻聴を聞く程




「好き」



って言って欲しかったのかな…。
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