朝焼け
「じゃあ、薫、明日帰る時連絡してね!」

電車を降りた時由美が言って来た。


「うん、分かった~」


そして由美は晃と手を繋ぎ、こちらを振り向かずに手を振りながら去って行った。




私と雄も、無言で雄の家に向かう。



私が雄の袖を掴もうとした時、


す、っと雄が手を差し出してくれた。



私達は手を繋いで雄の家に向かう事になった。



暗くて良く分からなかったけど、きっと2人共顔を真っ赤に染め上げていただろう。





…私だけかな?




雄の大きな手に触れると胸がドキドキして苦しいの。



雄が好きって言いたくなる。




でも恥ずかしくて言えない。





雄の家に着くと、雄から

「コレ、着てイイよ」


と、雄のスウェットを貸してくれた。



「俺、部屋の外に出てるから、着替え終わったら声かけてね」


と言って部屋を出る雄。



着替えようとしたらメールが届いた。


誰からかと思い見てみると、由美からだった。



「イロイロ頑張れよ♪♪♪」


とあった。



なっ何を頑張れって言うんだ?!



そこでハっと気付く。


雄を待たせてるんだった!


急いで服を着替える。




…流石は男の子と言うべきか。



袖は長過ぎて手が出ない。


ズボンは辛うじて紐がついていたので縛り上げて、ずり落ちるのを阻止出来た。



こんなに体格の差があるのか、と感心。




「着替えたよ~」


と雄に声をかけると、雄も部屋の外で着替えたのだろう。



色違いのスウェットを着ていた。




「何か…お揃いの服を着てるみたいだね」



と、2人で笑った。




ねぇ、雄。




私はこの時、ずっとドキドキしてたよ。




雄はどうだった??





ドキドキしてた?
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