朝焼け
「薫ちゃん、さっき駅で言ったの、本当だから!俺、何もしないから!」

と、雄が真顔で言ってくる。



「…でもね、布団が一組しか敷けないから、布団は一緒でも、いいかな?」


と、聞かれた。



「う、うん。いいよ…。
雄君と一緒に居たいし…」


と照れながら言い返す。



「薫ちゃんもそう思ってくれてたんだ。嬉しいな。アリガトウ♪」



と雄が笑う。




極上の笑顔だった。





クラクラした…。




布団を敷き、電気を消し、一緒の布団に入る。



本当に、雄は何もしてこない。



ごろん、と雄がこちらに寝返りをうつ気配がした。

私も、雄の方向に寝返りをうつ。

暗闇の中で、目が合った…

気がした。



息がかかる程の距離に大好きな人がいる…。


私の心臓がドキドキしてる音が雄に伝わってしまわないか、心配だったよ。



「薫…ちゃん、起きてる?」

暗闇の中から雄が聞いてくる。


「う、うん」


と、返事をする声が上ずる。




「抱き締めても…いい?」



「聞かなくていいよ?
前にも言ったでしょ?
答えは決まってるから…」




暗闇の中から雄の腕がのびてくる。




力強い雄の腕が、まるで壊れ物でも抱えるかのように…



私を包む。





心臓が破れそうなくらい胸がドキドキしたよ。





雄はいつも、




その力強い腕で






私をまるで






壊れ物の様に





扱うから。





雄になら、






壊されてもいい。







本当に






本気でそう想う。







それで雄がずっと







私のモノになるのなら。






…なんて、ね。
< 30 / 218 >

この作品をシェア

pagetop