朝焼け
「そうだ、薫ちゃんって誕生日、いつ?」



「…実はもう過ぎちゃったんだ。今月の14日だったの」



と言うと、頭の上から雄の声が降ってくる。



「マジで?!何で言ってくれなかったの!?」



「何か…クリスマスと近いから、変な気を使わせちゃうかな、って…」



と答えると、暗闇からか細い声が聞こえる。




「俺…。薫ちゃんの誕生日を知らなかったとは言えど…スルーしてしまうなんて…」



と、ショックを受けている。



「ゆ、雄君の誕生日はいつなの??」


と聞くと、先程とは違う、嬉しそうな声で

「俺と薫ちゃん、誕生日1ヶ月違いだっ♪俺、11月の14日だったんだよね☆」


「雄君も誕生日過ぎちゃってるし!!」


「薫ちゃんと同じ理由で言えなかったんだ」


「2人共、気が付かない内に20歳になってたんだね…。
来年はちゃんとお祝いさせてね?」


と私が言うと、



「来年も一緒にいてくれるんだ☆」


と嬉しそうな声を出した。


私も嬉しかった。



「…薫…」



え?


今。


「薫」って


呼捨てにされた?



「ゴメン、イヤだった?」


慌てて雄が聞いてくる。



「ううん、びっくりしただけ。
…嬉しくて…えへへ」


「薫、って呼んでもいい?」


「もう呼んでたじゃない☆
ね、ゆ…雄…。
わ、何か恥ずかしい!!」



ギュ、と私を包んでいる雄の腕に少しだけ力が入る。




「薫…初めて面と向かって言うね。」






…………沈黙。




「……雄???」




雄の腕に更に力がこもる。





「…好き…」






………一瞬、体が宙に舞いそうになる程。



嬉しかった。







「私も…雄が、雄の事が…好き」
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