朝焼け
何だか照れくさくて、雄の胸に顔を埋める。



こうしていると、私の好きな少女漫画のワンシーンの様だ。



………息苦しい。



少女漫画の中ではずっとこうしてるのに。


と思いながら、晃の胸から顔を離し、深呼吸をする。



「え?もしかして俺臭かった?!」

と、慌てる雄に、かくかくしかじか、と話す。



雄が笑いながら


「…可愛い」



と言ってくれた。



凄く…



嬉しかったの。







そして、私達は将来の夢の話をした。


「薫…は、将来の夢とかある??」



誰にも言った事の無い、私の夢。



「趣味でね、詩を書いてるの。
どうやったらなれるか分からないけど…作詩家になりたいな、とか…」



「おぉ~、薫、詩とか書くんだ♪
見てみたいな。てか聞いてみたい☆」



「えぇっ?!無理!即興で書ける程才能無いし!」


「じゃあ、もう作ったヤツ聞かせて??」

引き下がらない雄。

「~…誰にも気付かれないように
この気持ち隠した…

あぁ~、やっぱ無理!!!
恥ずかしい!無理!

…雄君の将来の夢は!?」



「俺、料理学校行ってるじゃん?
今の学校を卒業したら、フランスに留学したい」



フランス…



「フランスに留学って事は向こうの料理学校に通うって事?」



「うん。料理学校行ってたらフランス料理のシェフになりたいな、って思って…
フランスのコルドン・ブルーっていう料理学校に行きたいんだ」



「どの…位??」


「2年間。」



2年間…。



そんなに長い期間なのか…。



「そっかぁ…。じゃあ、お互いに頑張ろうね☆」




精一杯、強がってみせる。



だって、今から淋しがってたら身が保たない。




淋しがるのは





雄が旅立ってしまってからだ。


今は



雄と私、2人の時間を大切にしよう、

そう決意した、

19歳のクリスマス…
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