朝焼け

駅に向かっている途中で雄が私に､

「あ､薫､忘れない内に渡しておくね｡
ﾊｲ､これ♪」




と､私の肩に雄の上着をかけてくる｡


「ｱﾘｶﾞﾄｳ♪」



帰る時に雄が上着を貸してくれるのはもう恒例になっていた｡


晃が雄に､

「何でいつも上着渡してんの?
薫ちゃんってそんなに寒がりなの?」


と､聞いている｡


雄は当たり前のように､

「また次も会えるおまじない｡
…かな｡」


「付き合ってるんだから､もうそんな事しなくてｲｲんじゃねぇ?」


と､晃が更に突っ込む｡



「俺のお姫様は寒がりだから｡
風邪とか引いたら心配だし､会えないとかｲﾔじゃん??」


照れる事も無く答える雄｡



晃はｲﾔな顔つきで､



「あ～ぁ～､もうﾉﾛｹはｲｲよ｡ﾑｶつく」



と言う｡




…そこまで言わなくても｡



…ねぇ??