朝焼け
それでも晃の家でゲームをして遊んでいるうちに私と雄はすっかり打ち解けた。

そろそろ帰ろうか、と由美が言い出した時、真っ先に反応したのは雄だった。

「えぇっ?!薫ちゃんもう帰っちゃうの?」


「……雄君さぁ、薫が気に入ったのは分かるんだけど、薫だけ引き止めないでよ」


由美が拗ねたように言う。

「あ、そっか、ゴメン、由美ちゃんも帰っちゃうの?」

雄が付け足すが、もう遅い。


「付け足されたのが気に食わないから帰る~」

と由美。

「ま、どうせもう帰らないと行けないしね☆」


不敵に笑う由美。

「じゃあ駅まで送るよ」
と立ち上がる男2人。

7月とはいえ、陽が暮れるとさすがに寒い。


「薫ちゃん、寒いんじゃない?」

と見抜いたように聞いてくる。

「うん…ちょっと寒いかな」
素直に答えた。

「そっか…じゃあ…」


フワリ、と何かが私の肩に乗った。

何かと思い見てみると、雄が着ていた上着だった。

驚いて雄を見ると、

「半袖だけど、無いよりマシでしょ?」

「…アリガトウ」
ぽつりと呟いた。


ホームで雄から
「俺達もいろいろ頑張ろ、また会おうね」

と言われた。

「うん、じゃあね」
と、電車に乗り込み、

「上着、由美に預けたらいいかな?」

と聞く。


「次、会う時に返してくれればいいよ」



と、満面の笑みで言われた。



その時、けたたましい電子音と共に電車のドアが閉まる。



そのままゆっくりと走り出す電車。




ふと由美を見ると、ニヤニヤしながら


「次、いつ雄君に会うの??」

と聞いて来た。






しばらく考え込み、



「…………いつだろう?メールアドレスすら交換してないし…」





由美の顔が呆れ顔になっていった。
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