狼な彼と赤ずきん
「赤ずきん、まずいな……この俺でも、さすがに、苦しい」



弱音を吐きながらも強がって笑う狼を見て、また嫌な予感がした。


このまま、彼が力尽きてしまったらどうしよう。



「誰か、誰か来てください!」



暗闇に沈んだ街の中心で、私は声を張り上げた。


すると、幸いなことにそれに応えるように、遠くから足音が聞こえてくる。


それも、一人や二人ではない。


何十人かはいるであろう、大きな集団だ。



「あの、すみません!彼が大怪我をしていて、弱っているんです、力を貸していただけませんか!」



私は彼らに呼びかけた。


しかし助けてくれる気配はなく、代わりに一人の男がこちらへ駆け寄って叫んだ。



「獣人だ、獣人がいるぞ!!」



「この前の戦いでの死に損ないか!弱っているのならちょうどいい、殺してしまえ!」
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