狼な彼と赤ずきん
「はい、これ。僕の家までの地図だよ」



手渡されたのは、一枚の紙。


彼の家までの道のりが、手書きで丁寧に書かれていた。



「これ……いいの?」



「もちろん。親友のお嫁さんが困っていたら、僕も助けになりたいからね」



「だから、お嫁さんじゃないって……」



「照れなくていいよ」



駄目だ、話がかみ合わない。


でも、彼の気づかいはとても嬉しかった。



「ありがとう、狐さん」



私は再度礼をし、シルクハットを軽く持ち上げて帰っていく彼を見送った。
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