狼な彼と赤ずきん
てっきり、私に話しかけたくないくらい嫌われているのだと思っていたけれど、それは勘違いだったんだろうか。


それとも、義務感から私の世話をしているだけ――?



「ありがとう」



とりあえず、私は席についてホットケーキを口に運んだ。


甘くて、ふわふわ。


でも、それが美味しいとは感じられなかった。


狼にこんな態度をとられていては、たとえ有名シェフが作った最高級の料理であっても、美味しく味わうことなんてできないだろう。


彼の方を、遠慮しがちにちらりと見る。


相変わらず私に背を向けて、新聞を読んでいた。
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