狼な彼と赤ずきん
まるで私がこの場にいないかのような振る舞いに、胸が痛くて、心が壊れてしまいそう。



これ以上この家にいたら、狼に迷惑をかけてしまうかもしれない。


いや、きっと今だって、彼は私のことを迷惑だと思っているんだろう。


再会の日に見せた優しさは、きっと幻だったんだ。



「狼さん。私、本を読みに行ってくるね」



それは、昨日住人たちに教えてもらった森の小さな図書室。


森の真ん中にあって、さまざまな本がところ狭しと積まれているらしい。
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