狼な彼と赤ずきん
図書室には、話に聞いていた通りたくさんの本があった。


そしてこれまた彼らの言う通り、私の他には誰もいないようだ。


しんと静まり返ってどことなく寂しいが、狼の態度のせいで傷ついた心を抱えている今は、むしろこの方が落ち着くかもしれない。


ありふれた民家ほどの小さな空間に、ぎっしりと天井まで積まれた本の数々。


どこからこんなにも大量の本を集めてきたのかわからないが、全く整理されていない。


興味のある本を探すのに苦労したが、本の山をあさって、ようやく自分の好きな冒険ものらしき本を見つけ出した。


窓を開け放って新鮮な空気を取り入れると、近くの椅子に座って早速読み始める。
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