狼な彼と赤ずきん
「私、狼さんのことが好き……?」



いや、そんなはずがない。


キスは半分無理やりされただけだし、結婚パーティだって私が望んだものじゃないし、そもそも私は彼のお嫁さんになるだなんて言っていない。



でも、それだったらこの胸の痛みはなんなのだろう。


彼のことを何とも思っていないなら、こんなに胸がチクチクと痛むはずがない。



私は本を閉じ、机に突っ伏した。



考えていることがわからない。


私自身の考えも、狼の考えも。


何もかもが、分からない。



あらゆることに戸惑い、悩んでいるうち、私は眠りに落ちてしまった。
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