狼な彼と赤ずきん
「赤ずきん……!!」



ずぶ濡れで飛び込んできたのは、狼だった。



「狼さん!」



駆け寄り、しがみついた私を見て、彼は安堵したようにため息をついた。



「良かった……雨が降ってたのにお前が全然帰ってこないから、心配してたんだ」



彼は、迎えに来てくれたのだ。


私はぽかんと口を開けた。


私のこと、迷惑だと思っていたんじゃないの?



「何、口開けてんだよ。ほら、早く帰るぞ」



私の腕を引っ張り、図書室から出ていこうとする狼。


ランプを片手に持ち、傘は私に渡してくれた。



「でも狼さん、あなたの傘は……」



「俺はいいんだよ」
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