狼な彼と赤ずきん
「だから、今度はそんな過ちを犯さないように、お前のことを避けていた。こういうことをするのは、お前の気持ちを確認して、もっと関係を深めてからにしなければいけないって思ったから」



私は、彼の言葉を一生懸命脳内で噛みくだく。


ということは、彼も私を好きだということなんだろうか。


そう思うのは、思い上がりではないんだろうか――?



「狼さん……私みたいな子供には興味がないんだって思ってた。さっき、お風呂場で裸の私を見た時も、動揺したのは私だけだったから。狼さん、全然慌ててないみたいだった」



「とんでもない、俺もすごく動揺した。だから、髪を拭くのも忘れて、寝巻きも着ないで寝室に来てしまって……後で慌てて着替えた」



苦笑する狼。


そういえば、彼は裸のまま部屋へ戻っていってしまったっけ。
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