狼な彼と赤ずきん
「もう……へたり込ませてしまったのは誰よ」



文句を言いながら、私はキャベツの収穫を始めた。


彼はとなりでくわを持ち、土を耕している。


なんだかんだで、私はこうして彼と過ごす時間が好きだ。


この毎日が途方もなく貴重で、大切で、輝いているように感じる。



頭上を舞う鳥がさえずるのを聞き、平和だな、と私は思った。


祖母が亡くなったときはどうしようかと思ったけれど、今は幸せでいっぱいだ。


この幸せがいつまでも続きますように。



私は薄い暗闇のはるか彼方にある青空を見上げ、小さくそう願った。
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