狼な彼と赤ずきん
その日の午後は、住人たち総出で収穫祭が行われた。
一般的に収穫祭は秋に行われるものだが、日光のあまり届かないこの森では秋になるとめっきり寒くなるため、春のうちに済ませるのだという。
当然私たちも呼ばれ、先ほど収穫したばかりのキャベツを使ってヤギがスープを作ってくれた。
鹿が手作りしたパンをみんなで食べ、わいわいと話しながら過ごすひとときはとても楽しい。
「それで?狼よお、奥さんとはうまくいってんの?」
山猫が冷やかすようにニヤニヤ笑う。
――だから、私たちは夫婦なんかじゃない。
そう思ったけれど、口には出さなかった。
たとえ勘違いであっても、周囲から夫婦と思われるくらい仲がいいことが誇らしかったからだ。
それに、狼の方も夫婦であるということを否定しなかったことがなんだか嬉しい。
一般的に収穫祭は秋に行われるものだが、日光のあまり届かないこの森では秋になるとめっきり寒くなるため、春のうちに済ませるのだという。
当然私たちも呼ばれ、先ほど収穫したばかりのキャベツを使ってヤギがスープを作ってくれた。
鹿が手作りしたパンをみんなで食べ、わいわいと話しながら過ごすひとときはとても楽しい。
「それで?狼よお、奥さんとはうまくいってんの?」
山猫が冷やかすようにニヤニヤ笑う。
――だから、私たちは夫婦なんかじゃない。
そう思ったけれど、口には出さなかった。
たとえ勘違いであっても、周囲から夫婦と思われるくらい仲がいいことが誇らしかったからだ。
それに、狼の方も夫婦であるということを否定しなかったことがなんだか嬉しい。