狼な彼と赤ずきん
「良かったね、赤ずきんちゃん」



狐が私たちの方に歩いてきてにこっと微笑む。


彼は全てを見抜いているようだ。


狼が照れたように頭を掻く。


勘違いした時のことを思い出して恥ずかしくなったのだろう。


この森に来て良かった。


私は、心からそう思った。



「取れた作物に感謝を!来年も良い実りとなるよう祈りましょう!」



フクロウの一声で、みんなが歓声とともに一斉にこぶしを上げた。




収穫祭が終わった晩。


「お前は俺のものだからな。絶対に離さねえ」


狼はベッドの中で決まりごとのように私にそう告げる。


私はうんうんと頷き、彼に抱きついた。


「私は狼さんのもの。絶対に離れないわ」


二人で指切りをして、微笑み合った。
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