狼な彼と赤ずきん
狼さんとの戦い
そして朝。


目を覚ますと、外が騒がしかった。


また森の住人達が朝から何かパーティでもしているのだろうかと思って、窓から顔を覗かせる。


しかし今日はどうやら違っているようだ。


みんな、庭で深刻な顔をして話し込んでいる。



「だから、おいら見たんだって!剣を持ったでっかい人間がさ、この森に入ってくるところを!」


小柄なリスがこれでもかというほど腕を広げて力説する。


それに対して、怪訝そうな顔をしているのは山猫だ。



「でもよ、人間がこんな森に来るか?いや、赤ずきんは事情が事情だから例外かもしれねえけど」



「そんなこと言ったって、おいら、ちゃんと見たんだよ……」



しょげるリスに、慌てて山猫はフォローを入れる。



「いや、お前を疑ってんじゃないけどさ」



「ええ、疑ってはいけませんよ。前回も、そうだったでしょう」



「ああ、この前みたいにならないといいけどな……」
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