狼な彼と赤ずきん
狼と一緒に畑を耕した時のことを思い出す。


あの時私は、この幸せがずっと続くようにと願ったっけ。


しかし、どうやらその願いは叶えられそうにない。


私は不安に押しつぶされそうになる胸を抱えながら、その一日を過ごした。




「ただいま」



疲れきった顔で狼が帰宅する。


彼が家を出ていったのは私が起きる前。


それなのに、すでに夜の十時を回っていた。



「お疲れ様、狼さん。疲れた顔をしているけど、大丈夫?」


「ああ……」



すぐに駆け寄った私に彼は頷くが、その顔はどんよりと曇っている。
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