狼な彼と赤ずきん
――危険な目には、あいたくない。


しかし、この森を離れるのも嫌だ。



優しい住人たちにお別れをするのも悲しいし、何より、ずっと一緒にいると約束した狼と離れ離れになるなんて、耐えられない。



狼に会えなくなるくらいなら、死んだっていい。



私はそれくらい彼を愛していた。



「危険な目にあうのは怖いわ。……でも私、狼さんや、森のみんなと一緒にいたいの。だから、迷惑じゃなかったら……私は、この森にとどまりたい」



私は必死になって狐に訴えかけた。
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