狼な彼と赤ずきん
「あの街に戻ったって居場所なんてないの。家族も友達もいないんだから。だけど、この森は違う。誰もが私を暖かく迎えてくれた。私にとって、居場所はこの森しかないの」



狐の、どこかやつれたような目が、私を見つめてふっと笑んだ。



「そうかい。君がそう言うのなら、僕たちだって覚悟は出来ているよ。大丈夫、悪いようにはしないから」



彼の瞳は相変わらず優しく、全てを見通しているようだ。


その裏側には、彼の言うように固い覚悟がちらついている。



「君の正直な気持ちを聞くことができてよかったよ、赤ずきんちゃん。それじゃあ、僕はこれで失礼するね」
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