狼な彼と赤ずきん
狼さんとの別れ
翌朝――それは、五月も終わりに近づいた初夏のこと。
ついに、獣人たちと人間の、全面戦争が始まった。
その日は雨がぽつぽつと降って、薄暗い森には何となく不吉な雰囲気がただよっていた。
いかにも、何か重大な事件が起きそうな日だ。
「心配しなくていいですよ。すぐ終わりますから」
「大丈夫だよ、赤ずきんちゃん。僕らが必ず止めるからね」
「おいらだって結構強いんだぞ!」
まだ陽も登っていない明け方、森の住人たちが次々と家へやってきて、私に励ましの言葉をくれる。
しかしその言葉が、私には逆に別れの挨拶のように聞こえて、不安に胸が押しつぶされそうだった。
ついに、獣人たちと人間の、全面戦争が始まった。
その日は雨がぽつぽつと降って、薄暗い森には何となく不吉な雰囲気がただよっていた。
いかにも、何か重大な事件が起きそうな日だ。
「心配しなくていいですよ。すぐ終わりますから」
「大丈夫だよ、赤ずきんちゃん。僕らが必ず止めるからね」
「おいらだって結構強いんだぞ!」
まだ陽も登っていない明け方、森の住人たちが次々と家へやってきて、私に励ましの言葉をくれる。
しかしその言葉が、私には逆に別れの挨拶のように聞こえて、不安に胸が押しつぶされそうだった。